北九州市にある歯科・歯医者【あべやま歯科クリニック】

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インプラント・入れ歯・ブリッジは単純に比較できません!


Comparison

多くの歯科医院では、歯を失った場合の治療法には、インプラント、入れ歯、ブリッジの3つがあると説明され、それぞれの治療法には、メリットとデメリットがあると解説があり、比較表のようなものを見せて、インプラントの良さを強調し、患者さんに『インプラント』を選ばせるというマーケティング手法がありますが、当院では『絶対に』比較表を用いた説明をしないようにしています。比較表による説明は、患者さんをミスリード(間違った方向に導く)する危険性があり、注意が必要です。どうしてそうなるのか、ご説明いたします。

インプラント・入れ歯・ブリッジの違い


よくあるインプラント・入れ歯・ブリッジの比較表(例)と間違いの指摘


使用感(歯の使い心地)

インプラント 入れ歯 ブリッジ
最も固定感があり、噛み心地が良い 取り外し可能で残った歯と柔らかい歯茎で支える構造になっているため、不安定な感覚を生じることがある インプラントより固定感が劣る
なぜこのように簡単に比較できないのか?
確かにインプラントは顎の骨に固定され全く動きませんが、天然の歯は歯根膜という靭帯組織で顎の骨に埋まっています。これによって、固いものを噛んだときには、ショックアブソーバーの働きをして衝撃を和らげています。天然の歯はよくできているのです。従って、固定性を比較して単純に動かないからインプラントがブリッジより良いとは言えない場合もあるのです。

見た目

インプラント 入れ歯 ブリッジ
自然な見た目 自然さに限界がある 時間とともに色の変化があることがある
なぜこのように簡単に比較できないのか?
インプラントでも条件が整えば、確かに自然な見た目が得られますが、そうならない場合もあります。一方、入れ歯には保険適用の入れ歯と保険外(自由診療)の入れ歯があり、保険外の入れ歯であれば、治療費はかかりますが自然な見た目を回復できることがあります。また、ブリッジの色の変化については、実はインプラントの歯でも同じ材料を使う限り同じことが起こりますので、耐久性は変わりません。したがって、見た目については、インプラントが常に優れているとは言えず、条件によって優劣が異なるというのが本当です。

費用

インプラント 入れ歯 ブリッジ
高額 低コスト インプラントより低コスト
なぜこのように簡単に比較できないのか?
確かにインプラントは保険が使えず、治療費は高額です。
しかし、ブリッジも保険外のジルコニアなどで治療すると、1本の失った歯を治療する場合、インプラントとブリッジの費用はほぼ同じです。また、入れ歯にも保険外の入れ歯があることを知っておいて下さい。主要な先進国で治療されている入れ歯は、金属床義歯と言われるもので、保険の入れ歯であるレジン床義歯とは全く違うものです。保険診療と比較すれば、インプラントは高額ですが、保険適用外のブリッジや入れ歯治療と比較すると、インプラントは決して高額とは言えません。国民皆保険制度によって、日本ではインプラントだけが異様に高額な治療となっていることを知っておいて下さい。

治療期間

インプラント 入れ歯 ブリッジ
時間がかかる場合がある 短い治療期間 インプラントより短い治療期間
なぜこのように簡単に比較できないのか?
入れ歯とブリッジについては、治療期間は単純に比較できません。必要な来院回数は、ほぼ同じか、場合によっては、ブリッジの方が少ない回数で治療できます。問題は、治療期間とは何か?ということです。歯を抜かれ、失ってからの時間という意味では、即時義歯と言って、抜歯した直後に装着する仮の入れ歯を作ることがありますので、治療期間が短いと言えるかもしれません。一方で条件さえ整えば、抜歯と同時にインプラントを入れて仮歯を取り付けることもできます。その場合には、インプラントと入れ歯は治療期間としては、同じことになります。最終的な歯を入れるまでの時間については、抜歯されてからの顎骨や歯茎の治り具合によります。歯が抜かれて何年も経っているような場合であれば、入れ歯やブリッジの方が治療期間が短いと言えるかもしれませんが、ケースバイケースだと思います。

骨の吸収抑制

インプラント 入れ歯 ブリッジ
抑制効果がある 骨の吸収が進行する可能性がある 抑制効果がない
なぜこのように簡単に比較できないのか?
健康な天然の歯が残っているとインプラントと同様に顎骨の吸収は抑制されますので、ブリッジに抑制効果がない、というのは明らかに間違いです。また、入れ歯については、骨吸収を進行させる場合もありますが、症例によっては骨吸収を抑制する可能性も報告されており、微妙なところです。

健康な歯への影響

インプラント 入れ歯 ブリッジ
周囲の健康な歯を削らない バネ(鉤)がかかる歯に負担が増える 支点となる歯を削る必要があり、負担も増加する
なぜこのように簡単に比較できないのか?
これが治療選択において最も重要な比較要素だと思います。ブリッジの最大の問題点は、支えになる健康な歯を削ることです。また、入れ歯もブリッジも支えになる健康な歯の負担は増えます。インプラントは残った健康な歯に対する影響は一番少ないのですが、本当のことを言うと実は全くないわけではありません。対合歯と言って、噛み合う相手の歯(下顎のインプラントなら上顎の歯)の負担は増えるのです。インプラントの歯が完全に固定され、噛む力が天然の歯より大きいのが原因です。そのため、噛み合わせの調整には、十分な配慮が必要となります。

耐久性

インプラント 入れ歯 ブリッジ
耐久性が高い インプラント、ブリッジに比べ劣る インプラントに比べ耐久性に劣る場合がある
なぜこのように簡単に比較できないのか?
耐久性とは何を表しているのか、よくわかりませんが、これまで報告されている臨床研究のレビューでは、インプラントで固定された歯(上部構造と言います)と天然の歯で支えられたブリッジの生存率に差はありません。また、入れ歯についても、日本の保険診療の入れ歯である、レジン床義歯の耐久性は、インプラントやブリッジで支えられた歯より劣るとは思いますが、保険外の金属床義歯であれば、耐久性に劣るとは思えません。従って、耐久性が優れているからインプラント治療を選ぶ、と言う考え方は間違いとは言いませんが、微妙なところかと思います。

メンテナンス

インプラント 入れ歯 ブリッジ
適切なケアが必要 清掃が容易 一般的な歯と同様のケア
なぜこのように簡単に比較できないのか?
これ、どんな治療でもメンテナンスは重要ですよね。単純に比較することは難しいのですが、患者さんご自身での日頃のケアのしやすさ、と言う観点で考えると、確かに取り外しができる入れ歯は清掃がしやすいかもしれません。しかし、インプラント治療であっても、取り外し式の歯を作ることもできます(IODとかIAPRDと呼ばれるものです)。重要なのは、ブリッジであれインプラントであれ入れ歯であれ、患者さんのライフスタイルに合わせて、日頃のケアが容易にできる適切な治療内容をご提案することかと思います。

この比較表のコメントをよく読んで頂くと、そう簡単にインプラントが一番とか、入れ歯やブリッジはダメな治療なんて言えないことは分かって頂けたのではないでしょうか。

一方で、残った健康な歯を守るためには、何が一番良いか、と言う観点で治療方法を選ぶとインプラントが選ばれるケースがとても増えていることもご理解頂けたのではないかと思います。

当院では、専門医の資格を持つ歯科医師が患者さま一人ひとりの状態と要望を詳細に診察し、最も適した治療を提案いたします。

当院では、インプラントの優位性ばかりを説明して、無理やりインプラント治療を勧めることは絶対にありません。

インプラントは優れた治療法ですが、インプラント以外の選択肢もとても重要です。インプラントにも限界はありますし、全ての患者さんに対し、常にベストな治療方法であるとは限りません。

まずは、治療に関して何かご不明点やご質問がありましたら、お気軽に当院までお問い合わせください。